悪役令嬢になりきれませんの。
前世と今世の令嬢
何とか誤解をとこうとしたが……彼女の思考はおかしく……どうにも出来ないのが現実だった……
「では……お嬢様には前世の記憶。という物がおありなんですね?」
そんな中、もうどうでもいーや。なんて諦めた私はいま、自分が置かれている現状をラルラさんに伝えた。
「うん。」
「で、今のお嬢様はげーむと言う世界の記憶がほんの少しあり、思い出す前の記憶は曖昧……だけど、旦那様と奥様たちの記憶はある……」
「はい。」
「それに、未来ではお嬢様が死罪になるかもしれない。と言う事ですよね?」
「まぁ、そうなるね……」
「…………」
誰にも言わないで隠しててもバレそうなんだもん……私、絶対行動に出ちゃうよ?行動に出なくても態度に出て私がシャルネラでないことがバレちゃうよ!?それならいっそ、シャルネラ専属、戦えるメイドにそれを言って協力してもらった方が何かと楽でしょ?なんて思った私が馬鹿だった……
理解するために黙り込み顔を伏せている。と思っていたラルラが、ガバッと顔を上げる。何事かと思えば何を思ったのか剣を取りだし部屋から出ていこうとする。そんなラルラを羽交い締めにし慌てて引き停める。
「ちょ、どこ行くの!?」
「はい。お嬢様を殺しにくるであろう殿方を抹殺し、ひらいん?ひろうえん?……何たる女を消しに行こうかと。」
「やめれー!だめ!そんなことしちゃダメ!私はラルラにそんなことして欲しいと思って話したわけじゃないの!!ってか、ヒロインね!!」
「さすが私のご主人様……お嬢様はお優しい私のようなものにまで慈悲を……ですがお嬢様。危険物資は芽が生える前に摘み取る。それが最善かと……」
「えぇ!?」
ラルラの予想外の言葉に羽交い締めにしていた腕を緩めそうになったが締め直す……。慌ててラルラとの会話を思い出し、私の傍から離れるつもり!?と叫ぶ。そうすれば行こうとするラルラの動きが止まる。
「はっ!!そうでした!申し訳ありません……ですが……どうしましょ……このままではお嬢様が」
「それなんだけど……誰にも会わないように。部屋に閉じこもっておけばどうかしら!」
「それはいい案ですね!!けれど、お嬢様。1年後に控えた学園入学と……旦那様と奥様にも合わないつもりですか?」
「……………」
思考回路はショートした。