先輩と私と美術室
「おーい、静かにしろー」
先生が来て、1回目の集まりが始まった。
話によると今日は顔合わせとこれから体育祭までの予定の確認だけだという。
チーム分けは次回くじで決めるらしい。
この学校では赤、青、緑、黄の4チームに分かれる。
ちょうどどの学年も4クラスずつだから綺麗に分かれることができる。
「えー、今年の体育祭は6月の第1日曜日」
先生の声だけが教室内に響く。
その後、実行委員の氏名と予定表プリントをもらい、1回目の集まりは終わった。
今日は美術室行こーかなぁなんて考えながらプリントをファイルにしまう。
「美希ちゃん、今日は美術室行くの?」
顔を上げると机の前に柏木先輩が立っていた。
青木くんは部活に顔だけでも出してくる、と走って行ってしまった。
「行こうかなぁって思ってます」
「…おれも行っていい?」
控えめに首を傾げて言うものだから、かわいいなとか思ってしまった。
「いいですよ」
そう答えると、「ありがとう」と少し微笑んだ柏木先輩。
教室を出ようとしていた1年の女子から「キャー」だの「かっこいい」だの軽く黄色い悲鳴が聞こえる。
「えっと、カバンが教室にあるので、先に美術室で待っててください」
あまり、大きな声で言いたくないから小さめの声でそう伝えた。
「うん、分かった。待ってるね」
こーゆーところがモテるんだろーなぁ。
「分かった」だけじゃなくて、「待ってる」なんて言われたらそこら辺の女子は勘違いする気がする。
3年教室を出て、早足でカバンを取りに行く。
机の中のものをカバンに詰め込んで、4階にある美術室に向かった。