先輩と私と美術室
「で、何してたんですか?あれ」
「あー、部活が急遽無くなったから校内で鬼ごっこしてるの」
「なるほど…」
「先生に見つかったら、終わりだけどね」
外廊下の柵に寄りかかりながら、状況説明(?)を聞く。
初めて話したけど先輩のコミュ力が高くて話しやすい。
まぁ、見るからにクラスの中心にいそうな人だもの。
「先輩、何部なんですか?」
「男子バスケだよー」
「あー、納得です」
何となく聞いてみた部活。
バスケ部ってきいて納得した。
バスケ部はイケメン揃いだって聞いたことがある。
「なんで、納得…?」
「男子バスケ部はイケメン揃いだって聞いたことがあるので…」
思ったことをそのまま伝えると、先輩は軽く笑った。
「なにそれ、そんなん言われてるの?」
「実際に私が見た訳じゃなくて聞いた話ですけど…。クラスメイトが言うには3年の柏木瞬先輩?が断トツでカッコイイとかモテるとか何とか…」
「ふぅん、その"柏木瞬先輩”見たことないの?」
「見たことあるかもですけど、顔と名前が一致しないのでわかんないです…」
「ふぅん」
この学校、ほんとに生徒が多くて名前と顔が一致しない。
クラスの人も怪しい。
ただ、私が名前と顔が覚えられないってだけかもしれないけど…。
そういえば、先輩の名前知らないなぁなんて思った。
聞いても大丈夫かな…?
「あ、あの、先輩の名前聞きたいんですけど…」
「あぁ、
3年の柏木瞬です」
「…へ?」