先輩と私と美術室
「昇降口まで一緒に行ってもいい?」

「あ、はい」


カバンを手に取って、美術室を出る。

「鍵しめなくていーの?」

「先生が閉めてくれるらしいので大丈夫です」


「ふーん」

「…先輩って"ふーん”って言うこと多いですね」

「あー、一時期女子に話しかけられた時にめんどくさくて"ふーん”しか言ってなかったら口癖みたいにになったんだよね」


「私と話すのめんどくさいんですね」

「ちょ、そーゆーことじゃないから」



少しだけ意地悪してみた。

あわてて取り繕う先輩が可笑しくて。


「先輩、カバン教室じゃないんですか?」

「下駄箱近くに置いてあんの」

それから、他愛のないことで談笑しながら、階段を下って昇降口にむかう。

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