先輩と私と美術室
「わたし、帰ります」
「ごめんね、引き止める形になっちゃって。騒がしかったでしょ」
「いえ、楽しそうですね」
「楽しいけど、うるさい」
そんなこと言ってるけど、先輩は笑ってて、楽しいんだろうなぁなんて思った。
「まあ、俺らももうすぐ帰るだろうけど。気をつけて帰ってね」
「ありがとうございます」
「じゃあねー」
軽く会釈をして昇降口を出た。
駅までの道のりをゆっくり歩く。
放課後に美術室で人と話すのは変な感じがしたけど、楽しかった。
気さくで、話しやすくて。
また、先輩と話してみたい、なんて思ってる自分がいて驚いた。
美術室にまた来てくれるかな、いやでも部活があるか…。
ちょうど来た電車に乗る。
流れていく景色をぼーっと眺めながら、2駅分電車に揺られ、どこか軽い足取りで帰路についた。