社長の溺愛にとかされて
「ありがとう」

そう言って慎也は小さなケースを開ける、
そこにはシンプルな結婚指輪が入っていた。

「これは俺の」

そう言って、何も迷いもなく、慎也は自分の左の薬指にはめる。

「3か月の約束」

次にもう1つ、小さな箱を開け、
そこにも、もう1つ指輪が入っていた。

しかし、その指輪にはチェーンがついていて、ネックレスになってる。

「これは玲緒奈の」

そう言う慎也の顔が、ロウソクの光で揺らめき、
本当に現実か分からなくなってくる。

慎也の手の平に乗った指輪。

オレンジ色の光を受け、たゆやかな輝きを放つ。

慎也は私の背中に回り込み。

「つけるよ」

そういって、指輪のネックレスを私に着けてくれた。

シャランと言う音が、耳に響く。

肌に触れる、指輪の冷たさが、現実だと教えてくれていた。

そのまま慎也は私の首筋に唇を落とす。

体はビクンとはね、反応する。

慎也が本当に私といて幸せなら、私は過去から抜け出せる。

ロウソクの明かりを瞳に映し、愛おしそうに私を見つめる慎也を見ながら、
そう感じた。
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