社長の溺愛にとかされて
「こんな話あったよね」

私が語り出したのは、ある本に載っていたお話。

「とあるカップルがいて、しかしそのカップルはとても貧乏で。
 なので、それぞれプレゼントを用意する為に、
 女性は自慢の髪を売り、男性は大切な懐中時計を売っちゃって。

 でも男性のプレゼントは櫛で、女性のプレゼントは、
 懐中時計に付けるチェーンで、お互い無駄に終わっちゃったって・・・」

そう言って、はあっとカクテルを煽る。

そんな私を見て、慎也は語りかける。

「無駄じゃないよ」

笑顔で語る慎也を見て驚く。

「素敵な話しじゃないか」

「どうして?」
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