黒桜蝶〜夜桜に蝶が舞う時、私は恋をする〜
「そっか。伊桜里がそう言うならそう思っとくよ」


「…すみません」


「なんで謝るの?ほらほら、まだまだいっぱいあるからたくさん食べてね」


たくさん…。


「ヒロさん。さすがにこれは2人で食べるのは難しいですよ」


「あははっ。やっぱり?」


「はい。これはさすがに全部食べたら太ります」


〝だよね〜〟ってニコニコ笑うヒロさんに、ほんの少しだけホッとした。


心配してくれてるのに、何も言えなくて、隠し事して。


だからといって、これ以上は心配させたくないから。


ごめんなさい。


でも、私は大丈夫です。






例え、こうやってまた路地裏に引き込まれようと、被害が他に出なければ。


私だけで留まってくれたら。


ヒロさんや、ヒロさんが大切にしてるみんなに被害が無ければ。


それだけで大丈夫です。








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