嘘つき
それから少したったある日。
「いらっしゃいませ」
翔くんの席はいつも決まっていた。
翔くんはその席につくとすこしそわそわしているようにみえた。
こっちをちらちらみてる感じにもみえる。
でも気のせいだろうと思ってあまり気にせず、いつものようにわたしは翔くんの席にはあまりいかないようにした。
「ごちそうさまでした」
「ありがとうございましたー」
帰るときも翔くんはちらっとわたしをみたけれど、なにもいわずに帰っていった。
(なんだったんだろう?)
全然意味がわからないまま、食器を片そうと席までいくとおぼんの下に紙がはさまっていた。
【携帯水没してline消えた。だからこっちに連絡して】
そこにはメールアドレスと携帯番号が書いてあった。
そういうことか。と納得した。
だったら話しかけてくればいいのにとも思ったけれど、特に気にせずわたしはその紙をポケットにいれた。