契約結婚の陰に隠された真実の愛〜言葉に出来ない気持ち〜
朝、テーブルの上に書類の袋が置いてあった、彼の忘れ物だった、私は会社にその書類を届けた。
入り口で社員の方が挨拶をしてくれた。

「奥様、おはようございます」

「おはようございます、社長に忘れ物届けに来たんですが・・・」

「そうでしたか、社長でしたら社長室にいらっしゃると思います」

「ありがとうございます」

私は社長室に向かった。

ドアが開いており、中から彼と女性が話している声が聞こえて来た。

「柊、なんで電話くれなかったの？私、柊とやり直したいの」

「愛佳」

彼女は彼とキスをした。
私は顔を背けてその場から離れた。
涙が溢れて悲しい気持ちをどうする事も出来なかった。
途中で滝沢さんとすれ違がった、泣いている私の様子を何かあったと察して声をかけて来た。

「奥様、どうなさったのですか」

「これ、社長の忘れ物です」

私はそれだけ言うのが精一杯で、滝沢さんに書類を渡してその場をあとにした。

「奥様」

滝沢さんは私の後ろ姿に声をかけた。
私はその声に振り向く余裕はなかった。

滝沢さんは社長室に向い、開いているドアをノックした。

「社長、奥様がこれを持って来て下さいました」

「あっ忘れた」

「それから、ドアが開いていたのですが、奥様がいらしたのご存知でしたか？」

「亜実、ここに来たのか」

「失礼ですが、見られては困る状況はなかったでしょうか？」

「どういう事だ」

「私が奥様とお会いした時、泣いていましたのですぐ、奥様の元へ行ってあげてください」

「仕事が終わってからで大丈夫だ」

彼は仕事が終わってから帰宅した。




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