契約結婚の陰に隠された真実の愛〜言葉に出来ない気持ち〜
「お袋大丈夫か、一人で歩き回るからだろ」

「それなら、柊が一緒に来てちょうだい」

「何言ってるんだよ、俺は忙しいんだよ」

かっこいい〜なんて素敵なの、この人が桐生不動産の社長さん?
私は彼に見惚れていた。
私の視線に気づいたのか、彼は私を見つめた。

「あっそうそう、柊、このお嬢さんが私を助けてくれたのよ、お礼を言って」

「ありがとうございました、お名前は?」

「早坂亜実です」

彼はしばらく私をじっと見つめていた。
(なんだ、この気持ち、なんか胸のあたりが熱くなってきた、俺この人に惚れた?まさかな)

何?めっちゃ見てる、あ〜おばさんだなって思ってるんだろうな・・・この時彼が私に一目惚れしたなんて夢にも思わなかった。

「柊、そんなに見てたら亜実さん困ってるわよ」

「別に見てねえよ」

「ねえ、柊、私のお世話を亜実さんにお願いしたいんだけど・・・」

「本人は了解したのかよ」

「これからよ」

「ねえ、亜実さん、私のお世話をお願いしたいのどうかしら?もちろんお給料はお支払いするわ、柊が・・・ねえ」

彼が口を開いた。

「まず、現在仕事はしているのか?」

「していません」

「男はいるか」

えっそんなこと関係あるの?不思議に思いながら答えた。

「いません」

「そうか」

彼は安心したようなにこやかな表情を見せた。

「働く気はあるか」

「仕事探していたので、お願いします」

「良かったわ、亜実さん、よろしくお願いしますね」

会長は満面の笑みを浮かべた。
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