契約結婚の陰に隠された真実の愛〜言葉に出来ない気持ち〜
休みの日彼と私は出かけた。

「柊さん、何処に行くんですか」

「教会」

「教会?」

「俺は亜実にプロポーズしてないよな」

「契約してくれ、でしたね」

そしてしばらく車を走らせると教会に到着した。
彼は教会の扉に向かう階段をエスコートしてくれた。
教会の祭壇の前に立ち、彼と向かい合った。

「亜実、俺は実は、お前に一目惚れした、電話もお前と話がしたかった、食事に誘ったのも会長の礼なんかじゃない、デートに誘ったんだ」

「すみません、全然気づきませんでした」

「そうだろうな、亜実は超がつくほど鈍感だからな」

「ごめんなさい」

「いきなりプロポーズしても信じてもらえないと思った、いつもそうだ、不動産会社の御曹司というだけで、女に不自由しないだろうと思われてる

俺が惚れて愛を口にすると、必ずその気はないと振られる、結婚の気持ちはないと・・・
いつのまにか自分の気持ちを言葉に出来なくなった、言葉にした途端消えてしまうからな。

だから亜実に契約結婚の話を持ちかけた。
鈍感な亜実は俺の本当の気持ちには気づいてくれなかったよな」

「何も言ってもらえないからわかりません、でも柊さんがキスしてくれたり、抱きしめてくれたりする時、すごく熱烈だったからすごく嬉しかったです、私はドンドン柊さんに惹かれていきました」

彼はポケットから小さな箱を取り出した。
私に向けて箱の蓋を開けると、ダイヤの指輪が光っていた。

「亜実、俺と結婚してくれ、ずっとお前だけを愛すると誓う、亜実を俺の命に替えても守る」

「はい」

私の頬を涙が伝わった。

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