契約結婚の陰に隠された真実の愛〜言葉に出来ない気持ち〜

第十三章 信じがたい光景

初回の食事を作ることになった、もし彼が気に入らなければ、この計画はなしになる、だが、私とわかってはいけない。

メニューを考えるが難しい、どうしよう。
まずは定番メニューの肉じゃがから攻めよう、彼は和食が好きで、私の作る和食はよく褒めてくれた。

彼のマンションのカードキーを預かった。
久しぶりの空間、部屋の清掃から始めた。
私が以前使わせてもらった部屋のドアを開けた、驚きの光景が広がった。

アパートから引き上げてきたベッドやクローゼットの洋服など、そのままの状態に戻っていた。
すぐにでも生活を再開出来る状態である。

次に彼の部屋に入った、やはり信じられない光景だった、彼と私の二人で撮った写真が当時と変わりなく飾られていた。

彼の気持ちは嬉しかったが、もう元には戻れないと自分に言い聞かせた。
彼は社長として最も相応しい人と結婚して後継者を残すと言う大事な使命がある。

私は彼がその使命を全う出来るように手助けすることが出来れば、満足と思っていた。
そして食事を作り部屋を後にした。