ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
そう返答したものの、頭の中に先週末の部活動中の女子部員達の話をする姿が過ぎる。
知らないふりをした俺を見抜いていたんだろうか?
教頭は俺の瞳の奥を覗き込むようにじっと見つめた。
今更逃げるなよと言われてるみたいに。
「先週末、高島先生と八嶋先生が電車の車内で抱き合いかけているところを見たという生徒がいたらしい。」
『・・・・・・・・・・・』
やはりこの前の部活で部員達が話していたことだと思った。
「しかも、見たのがひとりだけではなく、何人かの生徒が見たと小耳に挟んでいてね。」
もし週末の部活動中に自分がその部員達に他言するなと忠告しても、この騒ぎは収まらなかった
そういうことにまでなっているんだ
「プライベートな時間だから、処分とかにはならないとは思うけれど・・・・このまま校長の耳に入る前に状況を把握しておきたいと思ってる。でも、私がいきなりその話をふるのも彼らを萎縮させてしまうかもしれない。」
『・・・・・はあ。』
なるべく波風が立てない方向へ持っていきがちな教頭
何となくこの後、彼から何を言われるのかまで読めた
ややこしいことが回ってくるのが
中間管理職というもの
『僕からそれとなく話を聴いて欲しい・・・そういうことでしょうか?』
「さすが、入江先生。話が早い。数学科の新人歓迎会後の出来事だったみたいだし。騒ぎが大きくなる前に早急にお願いしたいが。」
『・・・・・・・わかりました。』
すれ違い様に俺の肩をポンっと叩いた教頭が立ち去った後、
俺は早速、付箋に“確認事項があるので放課後、手が空いたら数学準備室まで”と付箋に書き、高島と八嶋のデスクにそれを貼っておいた。