ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
その様子を目の当たりにした途端
こんな顔させたくなかったのに・・・と揺れる俺。
状況だけ確認してさっさと済ませてしまおうと思い自ら切り出した。
『忙しいところ、すまない。キミらに確認したいことがあってここに来てもらった。』
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
でも心が揺れたままで次の言葉が出てこない俺を察したのか
「新人歓迎会後の僕と高島先生がどうなったのかということ・・ですか?」
八嶋は顔色ひとつ変えず逆に俺に問い質してきた。
その隣で気まずそうに視線を床のほうへ落としたのは高島。
何があったか聴かれても平気そうな八嶋と
平気そうではなさそうな高島。
高島のことがスキだとハッキリ言い切った八嶋と
以前が俺のことをスキだと言ってくれた高島。
『・・・・ああ。』
そう返事をしたものの
明らかに戸惑っている高島を目の当たりにした俺は
やはり第三者として事実確認する役割を充分果たせないのではないかと今更ながら思う。
「学校外の出来事ですけど、申し上げたほうがいいですか?」
『・・・一部の生徒達がキミらを見たことが教頭の耳まで届いている。』
やっぱり言わなくていいと言ってしまいたいけれど
それでも事実は伝えなくてはいけない
一般企業内での社内恋愛なら
噂話で済む話なんだろうけれど
教師という仕事は聖職と言われる職業
生徒達の手本となる人間であることを求められるだけあって
公の場である電車内で抱き合っていたという噂話は
その人間像を崩すものになりかねない
だから事実ではなく
ただの噂ならば
ちゃんと否定して消し去らなくてはならないものなんだろう
「・・・・・・・・」
「そうでしたか。」
俺の返答に対し、
高島は下を向いたまま絶句状態なのに
八嶋は真っ直ぐに俺を見ながらも、一瞬唇が小さな弧を描いたように見えた。
その後、八嶋の口から紡がれたのは
「そんな状況ならば、あの夜、高島先生と僕の間に何があったのかをちゃんとお話しなければならないですよね・・・」
『・・・・・・・』
「気になっていらっしゃると思いますし・・入江先生も。」
人を惹きつけてやまない爽やかな彼からは想像できない
ひとりの男の顔をした人間からの挑戦的な言葉だった。