ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
∫14:期限切れの秘密
【∫14:期限切れの秘密】
「高島先生、僕から入江先生に話してもいいですか?」
自分の中だけでしまっておきたかった
先週金曜日の出来事。
ひとりになってから、これから自分はどうしたらいいのかと
自問自答を繰り返した土曜、日曜。
目が覚めてもわからないままだった月曜日。
すれ違う生徒達に捻った足首の怪我がバレないようにできるだけ足を引き摺らないように歩いて向かった先。
それは職員室の自分のデスクの上に張り付けられていた1枚の黄色い付箋によって指示された数学準備室。
部活が長引いたせいで駆け込んだ先には既に入江先生と八嶋クンが居て。
新人歓迎会の後、八嶋くんとあたしがどうなったのかについての話をしかけているところだった。
夕日が差し込む場所で向き合う彼らの間に流れている
どこかひんやりとした空気に肩を竦めるあたし。
窓に背を預け両腕を組んで立っている入江先生の、いつになく険しい表情に
どう説明していいのかまったくわからないあたし。
『・・・・うん。お願い。』
本当なら、一応先輩という立場のあたしが説明するべきなんだろう。
八嶋クンは新人として従事し始めたばかり。
その彼が周囲に誤解されるようなことは
今後彼が教師を続けていく上では絶対に避けたいのに。
でもこの時、自分の頭の中がまとまっていない上に
自分が説明したことに対する入江先生の反応を目の当たりにするのも怖かったあたしは
八嶋クンにその役を委ねてしまった。
「生徒達が話している内容はほぼ事実です。自宅まで送りましたし。」
「・・・・事実なんだな。」
ふっと大きく息をついた入江先生。
一番知られたくない人に知られてしまう
既にフラれているのに、知られたくない
知られたからって入江先生との関係が今更変わるわけではないのに
それでも知られたくない
あたしの心の奥にしまっておきたかったあの夜の出来事を・・・