ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
あの夜の出来事
それは新人歓迎会の帰り
電車内で捻って痛めた足首のせいでまともに歩けなかったせいで八嶋クンにおんぶしてもらって自宅近くまで移動した。
さすがに終電がなくなった夜遅くに自宅まで送って貰ったら
家に上がって貰わないワケにはいかないと思ったあたし
八嶋クンには申し訳ないとは思ったけれど
なんとか自分の足で歩いて自宅までひとりで辿り着きたいと思った
そのため、おんぶしてもらっている格好から地面に下ろしてもらい一歩踏み出そうとしたけれど
「背中、乗って下さい。自宅まで送ります。」
あたしの足首にはやっぱり痛みが走って、動けなかった
「さ、いきましょう。」
嫌と言わせてくれない空気を醸し出した八嶋クンの背中に再びおんぶされ、あたし達は薄暗い自宅の玄関まで辿りついた
玄関のドアの前でこの後どうしたらいいのかわからずに
コートのポケットに入っている玄関のドアの鍵を握り締めるあたし
でもずっとこのままでいるわけにはいかない
ありがとう。また月曜日。おやすみ。・・・なのか?
お茶、淹れるから上がって・・なのか?
よくある模範解答というものは
どっちなんだろう?
ここまで来てもらっているのに
まだわからない
「・・・高島センセ?」
『えっ?・・あっ、その』
高校卒業してから大学を卒業するまでずっと顔を合わせていなかった入江先生
彼をスキという気持ちがただの憧れだったと自分なりに昇華していた大学時代のあたしなら
合コンで知り合った男の人を自宅に上げることに対して
こんなにも深く考え込まなかった
そして若さ故だったのだろうか
その場のノリで
肌を重ね合わせながら朝まで一緒にいた
でも、オトナという年齢になり教師になって赴任したこの高校
そこに偶然いた入江先生
同じ教師という立場に変わったあたしの心の中に
再び彼がスキという想いが募ってきて
その想いを伝えてフラれた今でも
スキをやめられないあたし
それなのに
八嶋クンとこの状況