ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
Σ6:割り切れない自分
【Σ6:割り切れない自分】
数学準備室に高島がやって来てから聞かされた新人歓迎会後に彼らの間にあった出来事
電車内で捻挫した高島を八嶋が抱きとめたこと
そして自宅まで送って行くのは
一緒に帰っていた人間なら至って当たり前な行動だろう
でも
恋愛に興味がある盛りの世代である生徒達には
それが当たり前の行動には見えたりはしない
その行動を
面白おかしく話のネタになったり
逆に非難の火種になったり
その影響で
同じ学校の教師同士という関係を守れ切れずに
年度途中で教育委員会へ出向したり、退職したりした人間を
数多くはないが何人か見送ったこともある
けれども、高島、そして八嶋を
そうやって見送ることなんて考えられない
彼女らの教師生活はこれからだから
だから俺が彼らが作ってしまったネタや火種を
作り変えればいい
そして怪我人を介抱するのは当たり前のことだと
言い張ればいい
・・・・彼らの先輩として
そう思って高島を抱き上げた。
自分のこの行動はただ後輩達に助け舟を出すだけだと
ちゃんと割り切っていたはずだった。
でも、直に感じる高島の明らかにリズムの速い心臓の音のせいで俺は
割り切っていたどころか・・・・彼女との関係をこのまま生徒達に勘違いされてもいい
・・・ふとそんなことを思ってしまった。