ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



そんな彼を諒兄と呼んだ彼女は軽く彼を睨みながら


「言わないよ。面倒なことになりそうだし。ネット張らなきゃいけないから、お先に~」

「だから、走るなって・・・っとに綾はしょうがね~な。」


その場から走り去ってしまった。




「って・・・入江先生、おはようございます。」

「おはよう・・ございます。」

「バレー部も朝練を始める時間、早いんですね。」

「・・・・・」


蒼井が走り去った後も相変わらず冷え込む廊下。

顔色ひとつ変えない稲葉先生と向かい合った入江先生は稲葉先生の顔をじっと見つめた。
くっきりと眉間に皺を寄せたまま。

他人に向かってこんなに険しい表情を浮かべる入江先生。
そんな彼なんてバレー部の一部員に過ぎないあたしはもちろん知らない。



「今の、見てました?」


かすかに笑みをこぼした稲葉先生。
こんな稲葉先生はみたことないかも。

いつもの爽やか好青年な教師ではなく
ひとりの男の人の横顔を覗かせた彼を。


「どういう関係・・ですか?」

あたしも気になったその質問とともに
入江先生は稲葉先生に対しいつになく鋭い視線を投げかける。


「ご覧になったような関係・・・ってとこです。」

そう言った稲葉先生の目も入江先生に負けていない。
それは “蒼井に手を出すな” と言わんばかりの目。


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