ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



「自信、持って下さいよ、高島先輩。」

『・・・でも、あたし、入江先生に告白してフラれているから・・・』

「・・・・・・・・・」


驚きを隠せていなかった蒼井だけど
すぐさま、鋭い視線をあたしのほうに投げかけた。


「でも、推測ですけど、入江先生は自分を最優先するタイプではないですよね?」

『まあ、多分・・・』

「入江先生があんなに愛おしそうに高島先輩の話をして下さったことを思うと、入江先生が高島先輩の告白を受け入れなかったのは自分の気持ちよりも高島先輩の幸せをまず願ったのでは?」

『あたしの幸せ・・・?』

「自分よりも高島先輩にふさわしい人がいる・・そう思ったんじゃないんでしょうか?入江先生は。」


蒼井のその言葉からあたしは想い出してしまった。
自分が入江先生にスキだと告白した時、彼から返された言葉を。
“多分、今のキミはベクトルの向きがズレているだけなんだろう・・・一瞬の迷いで。”
“でも、ひと呼吸おいて、その向きを修正すれば、キミに相応しい相手のいる到達点へちゃんと進むことができるはず・・・高島はまだ若いから。”
それらを聴いた自分が彼に問いかけた言葉も・・・



“入江先生のベクトルの向きは・・変えられないんですか?”

この時の入江先生はハンドルを右手でギュッと握っただけであたしのこの質問に応えてはくれなかった
だけど、小さく微笑んでくれたことは覚えてる
未だにあたしは
入江先生のスキのベクトルがどこに向いているのかという答えが見つけられていないけれど・・


それでも入江先生は蒼井の言う通り
彼はあの時もあたしの気持ちを最優先してくれていたのかもしれない



『蒼井・・・あたし・・・』


高校時代、妹のような存在であり
自分が憧れる存在が大切に想っている人物である蒼井
可愛いがってあげたいのに、羨ましい
彼女に対する異なる2つの感情をあたしに抱かせていた彼女に
自分のスキのベクトルの向きを導かれるなんて
過去のあたしは全く想像していなかっただろう


『あたしにふさわしい人なんていない・・・あたしはやっぱり入江先生がスキ・・・フラれても往生際が悪いってわかっていても変えられない・・・・・』


でも、今はきっと
蒼井はあたしの恋の味方


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