ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
あの時の高島・・・
見ているこっちが切なくなるような顔をしていた彼女は
多分、俺と真里さんの関係を男女の仲だと誤解していたんだと思う
高島が俺にスキという想いを告げてくれた直後だったこともあって正直、誤解されたくなかった
でも、高島のためには
誤解されたままのほうがいいのでは・・とも思った
スキだと想っている相手が
自宅まで送っていく途中で他の女からの電話での呼び出しに簡単に応じてしまうような最低な男だと・・・・
『蒼井が怪我した時といい、今の高島に対してといい・・・・確かに最低だよな、俺は。』
何をやらせても中途半端な自分自身にまた悪態をつきながら、職員室へ入った時だった。
「入江先生~よかった、まだお帰りになっていなくて・・・電話、電話。」
まだ職員室に残っていた社会科の柳原先生が相手に声が漏れないように電話の受話器に手を充てながら、少々慌てた様子で俺を呼んだ。
『俺宛ですか?』
「そうそう、帰宅したって伝えている途中で・・・」
『生徒ですか?』
急いで駆け寄った俺に、柳原先生は受話器をズイッと差し出した。
「そうじゃなさそうですけど・・・元教え子で・・・アオイさんという女性です。」
『蒼井?・・・とりあえず電話、代わります。』
蒼井がこんな時間に?
「どうぞ。」
ニヤニヤしながら俺に受話器を渡してくれた柳原先生に背を向けながら、俺は受話器を左耳に当てた。
『もしもし、お電話代わりました。入江です。』
「もしもし、入江先生ですか?」
『ええ。』
「夜分遅くにすみません・・・蒼井です。今、お時間大丈夫でしょうか?」
電話の相手は柳原先生から伝え聞いた通り
数カ月前に母親が通院している病院で再会した蒼井だった。
「ああ、大丈夫だ・・・何か・・・あった?」
やや切羽詰まったような彼女の声にそう聞かずにはいられない。