ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



「あの・・・・こんな時間に本当に申し訳ないのですが、高島先輩が・・・・」

『高島が?!』

「詳しいことは後ほどお話しますので・・・・佐藤町のバス停近くにある柏原整形外科クリニックまでお越し頂けますか?」




整形外科クリニック・・・・

高島はそこの病院へ向かったのか?!

あんな腫れた足だったんだ


もしかして
病院に向かう途中で彼女の身に何かあって
そこに運ばれたのか?!


『わかった。今、すぐ向かうから。』


慌てた俺は蒼井の返事を聞くことなしに電話を切った。
そして自分のデスクに置いてあった車の鍵を手にして
電話を取り継いでくれた柳原先生に挨拶しないまま職員室を飛び出した。



ついさっき通った時は遠く感じた駐車場までの道。
そこをあっという間に走り去り車に飛び乗った。
そしてもう誰もいないと勝手に決めつけ、学校敷地内でも勢いよくアクセルを踏んだ。


こんなに急いだのはいつ以来だろう?
そんなことを想い起こすのも
そんな疑問を感じたのも久しぶりかもしれない


『佐藤町の柏原整形外科クリニックってどこだ?』


とりあえず車を発進させて、ひとまず落ち着いた俺は
ナビに行き先を登録していなかったことに気がついた。

バイパスに繋がる交差点で長めの赤信号にひっかかった隙にナビを操作する。
“道案内を開始します”という音声が聴こえてきて、行き先へ辿り着く安心感を得た。


それなのにその直後、

『渋滞か・・・』


予想到着時刻を示すチェッカーフラッグマークの隣に表示された19:22という時刻とナビの地図上のバイパス道沿いにチカチカと点滅する渋滞を示す赤いラインに苛立ちを覚えた。



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