ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
「あ・・・・足はどうだったんだ?」
『あ・・・あ・・足ですか?』
“あお” って言ったから
てっきり蒼井のことを話してくれるんだと思っちゃった
「・・・・ああ。」
確かにあたしの足のことを聞かれても
おかしくはないよね・・・
今もこうやって送ってもらっているワケだし
『・・・・足は・・・捻挫だそうです。』
「・・・・・そっか。でも松葉杖とか大変そうだな。」
『まあ、そうですね・・・初めてですし、松葉杖。歩く練習しないといけないです。』
入江先生との話。
それが蒼井のことについてではなく、
自分のことになっていることに焦りを感じ始めた頃に自宅の前に到着してしまった。
やっぱりこのまま蒼井のことには触れずにいたほうがいいのかな?
『今日はなにかと・・・すみませんでした。』
もうこれぐらいしか言うことはない
今日のあたしは入江先生に迷惑かけっぱなしだしね
「なんで謝るんだ?」
ペコリと頭を下げながら謝ったあたしに
入江先生はエンジンを切りながら問いかけた。
スピードメーターの灯りが消えてしまったせいでその表情はぼんやりとしか見えない。
『保健室まで運んでもらったり、こうやって自宅まで送って頂いたり・・と。』
「俺の意思で動いただけだから、謝る必要はないさ。」
入江先生はそう言いながら、運転席から降りて、トランクに載せてあった松葉杖を取り出してくれた。