ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
「噂話には目撃談を重ねたコト。」
『・・・・・・・・・・』
それは数学準備室から保健室まで
あたしが入江先生に抱きかかえられて移動した時のコトだ
ふたりの間に何かあったわけではなさそう
「生徒に冷やかしまがいの言葉をかけられても、入江先生は冷静に応対していて。」
『確かに冷静・・・だったね。』
「でも、あの後、ずっと考えていたんです。高島先生を抱きかかえている姿は生徒に誤解されてもおかしくないようにも見えた。」
八嶋クンの言う通り
あの時の入江先生とあたしは
生徒達に誤解されてもおかしくない
だってあたし自身がその状況にドキドキしていたことを
隠せていなかったんだから
「僕がもし、入江先生の立場だったら、あの時はきっと、自分の立場がどうなるか不安であんな行動はできませんでしたよ。情けないですけど。」
『普通はそうだよ。』
「僕じゃ、敵わないって・・・改めて思いました。高島先生とのことも。好意がなければ想っていなければあんなことできませんよ。」
『・・・・・入江先生は先輩として後輩のあたしを助けてくれただけだよ。実際にあたし、またフラれているし。』
「・・・・・・・」
あたしがまた入江先生にスキだと告白したことに驚いたのか
八嶋クンはしばらくの間絶句している。
でも
「じゃあ、僕はもう、入江先生に遠慮とかしなくてもいいんですよね?」
再び口を開いた第一声はまさかの・・・あたしに対する問いかけだった。
『遠慮って・・・』
「公私ともに高島先生の一番近くにいる男・・・ってとこですかね?」
そういえば、歓迎会の夜
あたしは八嶋クンにスキだと言われ
キスを交わして
次はキスで止める自信がないと言われていたんだ
翌日、彼から電話がかかってきた時は
怪我の具合について答えただけで
あたしと八嶋クンとの関係については
あの夜から触れていないままだった
でも、あたしは入江先生のことで頭がいっぱいで
八嶋クンはハッキリとスキと想いを伝えてくれていたのに
自分は入江先生にスキだと告白していて
八嶋クンに対してちゃんと向き合っていなかった
こんなあたし、ホント、サイテーだ
『八嶋クン、ごめんなさい。』
「なんで謝るんですか?」
『あたし、アナタの一番近くにいる資格なんてないの・・・』
ちゃんと向き合わなきゃ
八嶋クンとも