ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
『・・・・・・・・・』
ただでさえ告白してフラれた翌朝。
平然としていなきゃと思っていたのに
ましてや八嶋クンとの今の会話を聞かれていたかもしれないと思ったあたしは
入江先生に対しておはようございますの挨拶すら口から出てこなかった。
ただ、呆然としながら彼の横顔を見つめるだけで。
でも、こんな状況でも八嶋クンはあたしよりも若いのに、しっかりと大人の対応を見せる。
「入江先生。昨日はありがとうございました。あの後、教頭先生に事情を説明しました。とりあえず忠告程度で済みましたけど。」
「そうか。とりあえずはよかったな。で、高島は足の具合はどう?」
入江先生は八嶋クンの報告に頷きながら、デスクの上にブラウンカラーの鞄を置いた後、あたしに問いかけた。
アイコンタクトなど一切ナシの至って自然な視線で。
『・・・だ、大丈夫です。でも痛みはやっぱりまだ。』
あまりにもいつもと変わらない入江先生の雰囲気に一瞬どもってしまったものの、なんとか返事ができた。
「そうか。階段を昇ったり降りたりはどう?」
『それは大丈夫です。練習しましたから。』
「無理するなよ。やっぱりキツかったら遠慮なく申し出るように。」
『ハイ。』
「さ、書類を片っ端から片付けるとするか。」
いつもと同じ空気
昨日、あたしが今までと変わらず後輩でいさせて欲しいと願い出たことを入江先生は受け入れてくれている・・・そう感じた。