ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
入江先生がもし
教師という立場とかにこだわることがなかったら
もしかしたら今、彼の隣にいるのは
あたしじゃなくて蒼井だったのかもしれない
でも、もう
もしかしたらって弱気になりたくない
今、入江先生の隣にいるのは
間違いなく
あたしなのだから・・・・
だから
あたしも入江先生と一緒に歩み始めればいいんだ
きっと
『あたしも卒業します・・・・・入江先生の教え子という立場も、同僚の後輩教師という立場も・・・そして、入江先生への片想い状態から・・・も。』
あたしは入江先生のほうを見上げ
ハッキリとそう言い切った。
「上出来。」
あたしを見下ろした入江先生は
そう言いながら目を細め、優しい笑みを浮かべてくれた。
彼が自分だけに初めて見せたその甘い笑顔に
じっと見入ってしまったあたし。
彼と目が合った瞬間、
彼のスキのベクトルがまっすぐに自分のほうに向いていることを充分に感じ取ったあたしは
自らそっと目を閉じた。
そして、南高と共に歩んでいる大きくて満開の桜の木に見守られながら
入江先生とあたしは
お互いに新しい一歩踏み出すために
そして
一緒に歩く道を選ぶために
卒業のキスを交わした。