ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
『へっ?』
「高島佑也・・・か。それも悪くないかも。」
もう何度目のまさか・・・なんだろう?
入江茜にもビックリだけど
高島佑也という名前に腰が抜けそう
『いやいやいや、そんなご冗談を。入江先生が入江先生じゃなくなるのは困ります。』
「じゃあ、茜・・が入江になるか?」
茜?
いつも、入江先生があたしを呼ぶ時には
高島って言うのに
こんなに甘い入江先生は
初めてかもしれない
っていうか今、言ったよね?
茜って・・・・
『今・・茜って言った?』
「あっ、なんか・・・馴れ馴れしかったよな。ゴメン。それに突然、結婚とかしようとか・・・あり得ないよな・・・・」
馴れ馴れしいなんて、とんでもない
結婚しようとかあり得ないよな、なんてそんなこと言わないで
せっかく長年の勝算の低い片想いに
嬉しい形で終止符を打つことができそうなのに・・・・
『そうじゃなくて、何か、入江先生を身近に感じて・・・かなり感動です。っていうか入江茜にも感動です。もちろん結婚しようかって言って下さったことも。』
「感動か・・・でも入江になるか、高島のままか?って今、いきなり答えろって言っても無理な話だよな。俺、何、言ってるんだか・・・」
無理なんかじゃありません
だってずっとずっと一緒にいたいんですから
入江先生と
妄想なんかじゃなく
現実みたいだから
だからあたしも即答します
『入江で!』
「ん?!」
あたしはそう言いながら、隣を歩いていた入江先生の前にひょこっと立ち憚かり、そして
『ふつつか者ですが・・私、入江茜になります。宜しくお願い致します。』
丁寧にそう紡いでから深くお辞儀して見せた。
一瞬、驚きの表情を浮かべた入江先生もその場で立ち止まって
「こちらこそ。」
と言いながら、引き締まった表情で頷いた後、あたしに向かって右手を差し出した。
それに引き寄せられるよう左手を出したあたし。
握り合った手から伝わる温かさでほっとしたのか
ようやく息がつけた気がした。