ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



ダメだ
このままだと絶対に惚れちゃう

この人・・・過去はあたしの先生
この人・・・今はあたしの同僚であり数学教師の先輩

この人・・・過去は多分あたしの後輩のコトをスキだった
この人・・・今は、どうなんだろう?


っていうかこんなことが気になって仕方がないこと、
きっとあたし、顔に出てる
何か言わなきゃ・・・

何か・・・・



『こ、ここのカフェ、来たこと、あるんですか?』

「ああ・・・あるよ。」


男の人ひとりで入るような雰囲気ではない
女性受けしそうなこの店

しかも入江先生はシフォンケーキにホイップが追加できることも
そのホイップ絞り袋を返却しなくてもいいことを知ってる

・・・・そんなことに勝手に嫉妬せずにはいられない


高校時代は
こっそりと抱くことすらおこがましいと思った
嫉妬という感情

10年という年月が過ぎたせいだろうか

その感情が実はずっと
自分の心の根底に眠っていたことを
思い知ってしまった今日


今日の入江先生だけじゃなく
今日のあたしも多分変だ


『・・・・・蒼井と・・・ですか?』


だってここは浜松
高校時代を過ごした静岡ではないのに

そんなことを聞いてしまう自分は
多分じゃなく絶対変だ



「・・・・・」


入江先生は返事をしてくれなかった。
その沈黙にあたしは押しつぶされそうだった。
多分、入江先生は蒼井のことを今でも想ってる
・・・そう感じたから。



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