ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
∫7:目には目を、歯には歯を、鈍感には鈍感を?!
【∫7:目には目を、歯には歯を、鈍感には鈍感を?!】
「そろそろ行くか?」
『あ~ハイ。美味しかったです。追加したホイップクリームも完食です!!!ヤバイ、太る~』
「バレー部の連中と一緒に練習すれば、大丈夫なんじゃないか?」
ケーキを食べ終わり、備付の紙ナプキンで口元を押さえているうちにさっと抜き取られた飲食伝票。
『あっ、半分出します。』
「いや、これぐらいご馳走させてくれ。」
いつも通勤時に手にしているビジネスバックではなく
レザーショルダーバックからスマートにワインレッドカラーの皮の長財布を取り出す。
「せっかくの土曜日なのに付き合って貰ってすまないしな。」
彼のその動きに注目していた私の気を逸らそうとしたのか
いつもよりも口数が多い彼。
黙って奢られろということかな?
『せっかくの土曜日だから・・・いいんです。』
「でも誘ってから気がついたんだが、先約とかなかったのかって。」
『あ~ないです。全然!』
「それならよかったよ。彼氏とかに申し訳ないからな。」
『だ、大丈夫です。』
せっかくの土曜日だからいいという言葉を気に留めることなく、
その上、あたしに彼氏がいると思っていらっしゃるようで・・・
あたし、彼氏、いないんですって
アナタのこと、こんなにも気になってるんですから
でも多分、入江先生はこんな私に気がついていなくて。
難攻不落の城に攻め入る前に跳ね返されたような気分。