ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
駅までの歩く道中では、さっきまでの怪しい自分を打ち消すために、顧問を務めている女子バレー部の話を自分から切り出してみた。
入江先生はあたしの話に丁寧に頷きながら話に耳を傾けてくれていた。
今は水泳部の顧問をしている入江先生
なぜバレー部の顧問を引き受けなかったのかという質問は
過去もそして現在もしていない
私自身も蒼井が体育館から消えたあの時の入江先生を
想い出すのが辛いから
「車を出すから、ここで待ってて。」
駅の地下にある機械式パーキングに停めてあった見慣れた彼の車。
背の高い彼が狭い駐車場で体を折りたたむように運転席に乗り込む姿もなんだか面白かった。
それでも、機械式パーキングから車を出すその様は
いつものスマートさ満載。
しかも、後方確認するしぐさは
女子お決まりの胸キュンポイント満載。
笑っている場合じゃなかったと急いで後部座席のドアに向かうと
助手席のドアが突然開いた。
「こっち乗れよ。」
左手でシートの座面に手を着き、右手で助手席のドアノブを押し出し、立っていた私を見上げるその姿に不覚にもドキッとしてしまった。
『えっ、でも。』
想いとは裏腹に
助手席に座りたいけど、座っていいものかわからなくて戸惑ってみせた私。
「さすがに彼氏に誤解とかされたくないよな・・・ゴメン。気遣いが足りないよな。じゃ、後ろでも」
『誤解とか絶対されません!!!!遠慮なく助手席に座らせてもらいます。』
彼氏に誤解されると思っている入江先生に誤解されている私は
彼の返事を待たずに助手席に乗り込んだ。