ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
『ぶっ』
「噴き出すなって。」
『だって証明問題とか・・・・意味わかんないです。いくら数学教師でもベタすぎるでしょ?しかもなんかキザ・・・・』
「キザって・・じゃあ、どう書いたらいいんだ?」
入江先生のメッセージが書き込まれたその紙が
再び目の前にすっと差し出された。
“先生、この問題、全然わかんないっす” と聞きにくる生徒みたいな顔をしている入江先生が可愛く思えて、ついそれを受け取ってしまった。
メッセージを書くしかない状況に追い込まれたあたし。
『入江先生、彼女の名前は?』
「伶菜さん。」
あ~さっきの
シフォンケーキに半端ない量の生クリームをのせちゃう彼女
駆け落ちしちゃうんだ
入江先生とじゃないけど
なんか複雑・・・
とりあえず、促されるがまま差し障りのない程度のメッセージと
彼から聞き出した彼女の名前を書き込んだ。
「書けた?」
『書きましたけど、月並みってトコです。』
「俺の、書き直さなきゃな。」
『いいんじゃないですか?入江先生らしくて。』
「俺らしい?」
『ハイハイ、いちいち気にしちゃダメですって。もうこのままドレスの箱に入れちゃいますね。』
彼がうんと言う前に
ドレスの上にそっと忍ばせたメッセージ。
ベールを購入していないことに気がついていたけれど
それはダンナさんになる人と彼女に選んで欲しかった。
それが伝わるといいな・・と思いペンを走らせた。
そのメッセージを覗きこもうとしている入江先生の視線を無視に
あたしはドレスの箱の蓋を閉めた。
『よし!っと。このドレス、素敵だな~・・って入江センセ?!』
今の今までひしひしと感じていた入江先生の視線は
いつの間にか窓の外へ移っていた。