ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
「やっちゃった・・伶菜さん。」
『はっ?』
「高島、急ごう。」
なぜか白衣らしきものがひらりと宙を舞っていて。
その近くで駆け落ちカップルの彼女のほうが波打ち際で足をとられ尻餅をついていた。
『あっあの人、尻餅ついてる!!!!』
「伶菜さん。相変わらずだな。でも、守ってくれる男がいる。」
慌てるあたしに対して
穏やかに小さく微笑む入江先生。
入江先生が言った通り、
彼女のすぐ前にいた男の人がすぐさま彼女の傍へ寄った。
『うわ~!!!びしょ濡れ状態でお姫様抱っこ!! 夕日をバックに絵になるってば!!! ね、入江センセ!!!!!』
「日詠も相変わらず、何やらせても絵になる男だよな。」
『やだ、ダンナさんってば、ハンパなくカッコイイじゃないですか~!!!』
「でも、産婦人科医、失格だな。」
溜息交じりに入江先生が呟いた新情報に驚かずにはいられなかった。
『えっ?!産婦人科医って・・お医者さんが職場放棄して駆け落ち??』
「職場放棄はともかく、とりあえず、高島はドレスの箱を伶菜さんに渡して。」
『あ~ハイ。了解です。びしょ濡れみたいですしね。』
あたしたちは車から降りて、
びしょ濡れ状態になってしまったふたりへゆっくりと近付いた。
伶菜さんを抱きかかえる日詠さんと
お兄ちゃんが死んだらイヤだと泣き叫ぶ伶菜さん。
日詠さん=伶菜さんのお兄さん?
兄妹なの?
だから駆け落ち?!
何も知らないまま入江先生の後をついてきたけれど
なんか、あたし、イケないところに足を踏み入れてしまったの?
「伶菜サン、気をつけたほうがいいよ・・・そいつも、かなりの策士だからね・・・・」
入江先生はずぶ濡れ状態の彼らに手が届く距離まで近寄った。
笑いながら伶菜さんに忠告した入江先生のその発言で
あたしはますます意味がわからなくなった。