ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
一瞬、静まり返った教室内。
ドアの向こう側からは先生らしき背の高い背広姿の男の人が入ってきた。
「こんな先生いるんだ」
「早く席着かなきゃ・・・」
「正直、本当にタイプ!」
女子生徒達のひそひそ話があちらこちらから聞こえてくる。
教卓に黒い出席簿を置き、すぐさまあたしたちのほうを見つめたその真っ直ぐな瞳。
確かにカッコいいと思った。
教科書に目を落とす鼻筋の通ったキレイな横顔
授業を始めるというちょっと聞き取りづらい低い声
チョークを持つ長い指
流れるように進められる板書
早速、始まった数学の授業。
その中心にいたその男の人は
まわりにいる男子生徒とは明らかに一線を画す
オトナの雰囲気が漂っていた。
そのせいで
あたしのノートは授業が終わった後でも真っ白。
あたし
数学、得意なのに
全然頭に入らなかった。
先生が自己紹介で口にした名前すら頭に入らなかったぐらい
彼に見とれていた。
そんなあたしはその先生の名前を違う形で知ることとなる。