ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
そして、やっぱりあのふたりがどうなったのかが気になったあたし達は少し離れたところから彼らを見た。
『入江センセ!! 白衣をベールにしてる!!!』
「そういえば、ベールは用意してなかったっけ。」
水平線に沈みかけた夕日が彼らをそっと照らす。
ドレス姿で現れた伶菜さんの頭に
日詠さんが白衣をそっと載せて
見つめあうふたりを。
『そうですよぉ。でも、白衣がベールでもやっぱりあのふたりは絵になるよぉ・・・』
「そうだな。」
日詠さんが伶菜さんに何かを渡しているその姿も
オレンジ色に包まれていた。
渡された物を見る伶菜さんの横顔は
本当に綺麗で。
彼女を傍で見守る日詠さんの横顔も
優しすぎて。
涙が出た。
『ふえっ・・ふえっ・・・なんかよかった・・・・』
「よかったよな。」
入江先生を巡ってのダブルパンチを受けていた心のダメージが
少しどころか、かなり和らいだような気がした。
そして、夕日のオレンジ色と夜空の群青色がまじりあい始めた中、
「ふたりみたいな空だな。」
『えっ?』
ぽつりとそう呟いた入江先生。
いつもは数式とかベクトルなどの客観性の高いものを巧みに操る入江先生から聞かれた “ふたりみたいな空” という主観性の高い言葉に少々驚きながらも
「橙色が伶菜さんで、青が日詠。」
『なんとなくわかるかも。』
日詠さんがドレス姿の伶菜さんの手を引き歩き始めたのも見届けたあたし達。
空のオレンジ色と群青色がなす幻想的なコントラストが終わり、
それと入れ替わるように輝き始めた月も入江先生と一緒に眺めた。
「じゃ、帰るか。遅くなって悪かったね。」
『大丈夫です。絵になるふたりの駆け落ち・・・・バンザイ!!!!!』
「なんだ、ソレ。」
あたしは入江先生に突っ込まれながらその場を後にし、
再び入江先生の車に乗り込んだ。