ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
黙ったまま運転している入江先生も
あたしがそんな気持ちでいるなんて
きっと気付いてなんかない
そんな気持ちに気付いて欲しいようで
気付いてほしくない
その狭間で揺れているあたしは
静かすぎる車内が落ち着かなくて
『間違えられちゃいました・・・蒼井に。』
「・・・・」
自分でも驚くようなことを口にしてしまった。
さっきまでは真っ直ぐ前を見ながら運転していた入江先生がチラッとこっちを見たのがハッキリわかった。
運転席のスピードメーターの照明が
彼の揺れる瞳を照らしたことも。
蒸し返してはならなかったことに触れてしまったことも
ハッキリとわかった。
この空気をどう変えたらいいのかがわからなくて
あたしは黙ってやり過ごすしかなかった。
どんどん近付いてくる自宅アパート。
その流れで、
送って下さってありがとうございました
お先に失礼します
と言ってから、車を降りる
そう思ってた。
「この間、会ったんだ・・・蒼井に。」
あたしのアパートの来客用駐車場に車を停めた入江先生から
この言葉を聞かされるまでは。