ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
入江先生が口にした【でも】という言葉は
【けれども】という逆説の接続詞の略語
ありがとう
嬉しいよ
の後に紡がれた【でも】の後の言葉はきっと
あたしにとっては、聞きたくない言葉
けれども
聞かないわけにはいかない
蒼井と入江先生の関係に入り込めないからと
さっさと自分の本当の気持ちから逃げたあの頃とは違う
現実を受け止めなくてはならないオトナになってしまっているから
『でも?』
入江先生の隣の助手席で
あたしはフロントガラス越しにまた夜空を見上げてから
運転席にいる彼のほうを向き、なかなか彼の口から発せられない【でも】の続きの言葉を促した。
彼もこちらを向いて、目が合う。
しばらく見つめ合うあたしたち。
つい口角が引きつったあたしに
入江先生はふっと小さく笑った。
多分、その笑みは入江先生からの【でも】の続きを話そうという合図。
そう思ってあたしは入江先生の言葉の続きに耳を傾ける覚悟を決めた。
「高島は・・・」
『あっ、ハイ!!!』