ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方


「でも、ひと呼吸おいて、その向きを修正すれば、キミに相応しい相手のいる到達点へちゃんと進むことができるはず・・・高島はまだ若いから。」


だから
ベクトルの向きの修正を勧められた

それは
あたしのスキという気持ちの向ける方向を
入江先生ではなく
別に向けろということ


だけどもう別のほうへ向けられるわけなんかない
あんな寂しそうな彼の顔を見てしまったら・・・

蒼井のベクトルが
今、どこへ向いていて
蒼井自身がどちらへ進んでいるのかはわからない

だけどきっと
あんな寂しそうな顔をしていた彼を思うと
もしかしたら
ずっと蒼井のほうに向いているであろうベクトルの向きを変えるべきなのは
入江先生なんじゃないかって・・



『入江先生のベクトルの向きは・・変えられないんですか?』

彼と同じく数学教師のあたしはそんなことを思った。


でも入江先生はハンドルを右手でギュッと握っただけで
あたしのこの質問に応えてはくれなかった。

その後にくれたたったひとつのヒントは
小さく微笑んでくれたことだけだった。


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