ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
「そうか。こっちこそありがとな。」
『・・・いえ。』
「それじゃ、おやすみ。」
『おやすみなさい。』
車のアクセルを踏んで、目の前から走り去った入江先生の今日の最後の言葉。
それは、
いつも職員室から帰る時の “お疲れ” ではなく
“おやすみ” だった。
同僚として退勤時のお決まりの挨拶である “お疲れ” ではなく
親しい人に言ってもらえるような “おやすみ”
そんな些細な違いに、胸を揺さぶられて・・・
あたしの入江先生へのベクトルの向きは
やっぱり簡単には変えられなさそう
そんなことまで思った。
今のあたしの想いを知っているのは
冷えた空気によって透き通るように見えるキレイな夜空の月だけ。