ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



とうとう姿を現してしまった
入江先生のSNS友と思われる真里さんという女性。
しかも、ハグされる関係。

少々慌てていたけれど決して嫌そうではない様子の入江先生を目の当たりにして
勝手にムカついた。
彼にフラれた自分の不甲斐なさに。

蒼井に敵わないだけでなく
オトナの女子力にも敵わないらしい自分の残念さにも
ムカついた。

その憤りをどこに向けたらいいのかわからないあたしは
彼らに背を向けて歩き始めた。


『あっ、コレ、車へ持っていかなきゃ。』


やっと気がついた手に持ったままの使用済みのジャージが入った鞄を車のリアシートに勢いよく放り込んだ。

ささやかな八つ当たりの対象は
使用済みジャージ入りの鞄。
そして
後部座席のドア。

あまりにも大きな音を立てた後部座席側のドアに
やりすぎたとまた肩を落とした。
八つ当たりしてまたがっかりするという悪循環。

失恋をどう癒せばいいのかわからないままのあたしの耳に聞こえてきたスーツケースのキャスター音。


「さっきの、内緒にしておいて頂けます?」

『はい?』

背後から聞こえて来た女性の声。
その人のまさかの行動にイラつきを隠せない返事をしてしまった。


「見ていらっしゃったでしょ?私が入江先生にハグしたとこ。」

『・・・見えちゃっただけです。それに別に関係ないですから、あたし。』

突然やってきた訪問者のはずなのに
自分が学校関係者であるにも関わらず
つい、突っ慳貪(つっけんどん)な言い方をしてしまった。


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