ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
『見守る・・・か』
恋愛のベクトルの向きを変えることができるのは
おそらく
時間薬なんかじゃなく
自分自身の想いをはっきりと口にできる人間
『さすがにプライベートなことまで、上司がしゃしゃりでることはないだろ?』
高島が信じようとしている時間薬の存在に甘えて
自分自身の想いをうやむやにしている人間は
恋愛のベクトルを自ら動かすことなんか
できやしないんだろう
だから
『関係ないから、俺は。』
俺は自ら蚊帳の外へ自分を追いやった。
でもこの時、口にした“関係ない”という言葉
それは
相手に対して言い放ったのではなく
自分に対して言い聞かせる使い方
そういう使い方は
自分にとって初めてで
密かに動揺していた。
そう思ったと同時に
真里さんが俺の腕時計を学校まで届けてくれた姿を見た高島が俺に向けて言った “でも関係ないですから” という言葉
それはどういう使い方だったんだろう?
この時の俺はそんなことも頭を過ぎったせいで
高島のいる場所へすぐに戻ることができなかった。