ラヴシークレットスクール ～消し去れない恋心の行方

∫12：数学教師×元生徒×数学教師

【∫12：数学教師×元生徒×数学教師】



新人歓迎会の途中で、トイレの方に行ってしまった入江先生と八嶋クン。
なかなか戻ってこないふたり。
何かあったのか気になって
座っていた掘りごたつから足を出して立ち上がろうとした時だった。


「高島先生？」

『あっ、入江先生、どうだった？』

「大丈夫みたいです。食べ過ぎただけって。」

『やっぱり。』


まだ姿が見えない入江先生が気になるあたしは
そのまま立ち上がって、トイレへ向かおうと自分の靴を探していた。
その時、いきなり左手首を掴まれた。


「男子トイレに入っていくつもりですか？」

『そんなことはしないけど。』

「心配いらないですよ。ちょっと息抜きしたいみたいでしたしね。」

『それならいいけど。』

「まあ、酒でも飲みながら、待っていましょう。」


八嶋クンに掴まれた左手を引かれ、自分が座っていた掘りごたつの席に導かれた。
もう４月下旬だからか、火が入っていない掘りごたつ。
そこに座ってまもなく飲み放題メニューを手渡された。


「この店、ワインも飲み放題ＯＫみたいですよ。高島先生、どうです？」

『ワインかぁ。』


つい想い出してしまう
まだ寒かったあの日の校門の辺りで
今度、ワインでも飲もうと約束していた
入江先生と真里さんという人のやりとりを