ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
入江先生の、躊躇いがちにあたしを呼ぶ声
普段の業務中には聴くことはないその声色
なにを言われるんだろう?
どんな用事なんだろう?
『・・・は、はい』
それらの見当がつかないせいか
若干声が裏返りながらようやく返事をしたあたし
そんなあたしをじっと見つめている入江先生も
小さく口を開く
「・・・時間薬」
『えっ?』
どきりと心臓が鼓動を打つのが
自分でもはっきりわかる
業務の話でもない
他愛のない日常会話でもない
・・・時間薬なんて言葉
それを今、入江先生が口にするなんて
どういうことなんだろう?
そんな疑問があたしの心臓を揺り動かし始めているから
「そんなものは実際のところ・・・ないのかもしれないな。」
もしかして、今の
随分前にあたしがうっかり呟いた
“時間薬って本当にあるのかなぁ” という言葉の答え?
時間が経てば、入江先生がスキだという想いが色褪せてくる
そんな時間薬、あるのかなって思っていたのに
それを否定するようような入江先生の突然のその言葉に
あたしは黙ってはいられなかった。
『入江先生!!』
「ん?」
『入江先生が言う時間薬ってどんなものなんですか?』
あたしは聞かずにはいられなかった。
入江先生が何を想って時間薬のことに触れたのか・・を。
なんで今頃、それに触れたんだろうということも気になったから。