ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
Σ4:宿題という名の依存
【Σ4:宿題という名の依存】
脂っこいものを食べ過ぎて駆け込んだトイレから戻ると八嶋が高島の傍にいた。
高島が八嶋の分の食べ物を取り分ける
さっきと同じ状況。
いい年したオトナのはずなのに
そういう状況にやっぱり心が揺らされて。
同じ失敗をするわけにはいかない
同じ心配をかけてはならない
高島にもうあんな心配そうな顔をさせてはいけない
・・・そう自分に言い聞かせるのが精一杯だった。
丁度いいタイミングで自分を呼ぶ野村の声がして、
俺は彼らから逃げるように離れた。
「八嶋のヤツ、高島にやけに懐いてますね。」
「高島は面倒見がいいからね~」
「男子生徒に茜ちゃんって呼ばれて、“高島先生様って呼べ!” ってキレてたけどね。」
「八嶋も生徒からの評判はいいみたいですね。一部の女子生徒が熱を上げているみたいなので、気をつけて見てはいますが、上手くかわしているみたいですよ。」
俺が座った目の前で、野村や古川達がケラケラと笑ってそう会話しながら酒を酌み交わしていた。
「そういえば、22,3才の頃って、年上女に憧れませんでした?」
「あっ、そうそう。なんかオトナの女性にイロイロ教えて欲しいと思えるんだよな~」
「高島に限ってはそういうニオイ、しないですよね?」
野村と古川がちらりと高島達のほうを向き
同時に頷きながら俺のほうを向く
彼らに同意を求められてるらしい俺だが
高島達から逃げてきた俺はそれに反応する余裕なんてない
そんな俺に、酒が飲み足らないようだと思ったらしい野村が、俺の傍にあるコップにビールを注いぎながらおもむろに口を開く
「しないな・・・女子力だっけ?そういうの、高島は無縁そうだし。最近が理系の女でも女子力磨いてる子が多いらしいけど、アイツはそのまんま理系女子だし。」
「でも、気を遣わなくてもいいから楽ですよね~高島は。英語科とか国語科とかの女性の先生達にはすごく気を遣いますもんね。」
「そうそう、言葉遣いまでも。ね、入江先生。」
野村達が言う通り
確かに高島は他の科の女性教師達とは異なり、変な気遣いをしなくてもいい女性
高校時代もそういう女子生徒でもあった
でも、今の高島は本当にそうなのか?
俺の中での彼女はそういう存在なのか?
『・・・・どうだか。』
彼女が高校生の頃から知っているのに
今の俺の中ではそんな存在ではなくなっているかもしれない
気遣いをしなくてすむどころか
気になってしまう
今はそういう存在