ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方



駅の改札のすぐ傍にある遮断機のカンカンカンという音が鳴り止むとともに
クリーム色の明かりを点した電車が遠ざかって見えなくなり、辺りは暗闇に包まれた。
あたし達を照らすものは駅のホームの蛍光灯だけ。


「ウチ、ここからそんなに遠くないんで。それより・・・」

電車から降りたお客さんが我先にと改札口へ向かう中、
終電を途中下車した八嶋くんの帰宅方法を彼自身に聞いてみようとしていたあたしの真ん前で
いきなりその場でしゃがみこんだ八嶋クン。


「背中、乗って下さい。送りますから。」

『えっ?』


彼のしゃがみこんだ格好の長い影がホームの床にくっきりと映った。
それを横から見ているあたし。


いつものあたしなら
“ハトみたいな間抜けな格好~!!!!!” って茶化すところだけど

終電が走り去って家まで帰る術が簡単には見つからなさそうな八嶋クンが足を捻ったあたしを家までおんぶしてくれると言っている今

おもしろおかしく茶化す余裕なんて
まったくない・・・



『そんな訳にはいかないよ~、重いもん、あたし。』

「それは乗ってみなきゃわからないでしょ?高島先生、ほら。」


余裕なしのせいでほぼ空っぽの脳みそをなんとか使って思いついたおんぶお断りの理由を口にしたあたし。
それを簡単に聞き流してあたしのほうに背中を向け、顔を見上げて両腕を大きく開いた八嶋クン。


「早くして下さい。このままだと今度は僕が恥ずかしいですから。」

急かされてしまったせいで
あたしはもうおんぶを拒みきれなかった。



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