ラヴシークレットスクール ~消し去れない恋心の行方
Σ5:滑り込んでくる現実
【Σ5:滑り込んでくる現実 】 *数学教師:入江目線
やや飲みすぎたのか二日酔い気味で迎えた新人歓迎会翌日の土曜の朝。
気だるい体で這い上がるようにベッドから抜け出し、やや熱めのシャワーを浴びた。
『今日は10時集合だっけな。』
バスタオルでゴシゴシと頭を拭きながら、やや遅めの朝食を摂る。
といっても
バターを塗ったトーストにコーヒーというぐらいの手間のかからない朝食。
『トーストよりも・・・・本当はご飯に味噌汁のほうがいいんだろうに。』
トーストをひと口かじってもう食いたくないと思った俺は
新聞を読みながらコーヒーを飲んで朝食を終え、顧問をしている水泳部の部活へ向かうために家を出た。
『何かと忙しい。ゆっくり寝る暇もなかった。』
運転中、タイミング悪く赤信号にひっかかったせいもあってか多忙な日々をぼやく。
なにかポッカリと穴が開いたような感覚を覚えている今は
それぐらいのほうがいい
何もすることがないと
余計なことに囚われて身動きが取れなくなりそうで
こんな自分になってしまったせいが何なのか
自分でもわかっている
それは
俺の心の中にしっかり根付いていたはずの存在が
自分から離れるように仕向けたからだ
それを自覚しているのに
それが現実になりそうな今、
そこから目を背けようとする俺は
『今日は市営プールで練習だっけ。』
今、自分がやるべきこと
・・・水泳部の練習に参加することに集中するために
鞄の中に入っている水泳部の練習予定表を開いて確認した後、再び車のアクセルを踏み込んだ。