お助け部ッ☆



ご飯も食べて、お風呂も入った!

あとは寝るだけ♪

明日帰るんだ………

せっかくの温泉旅行。でも温泉より結婚式の印象のが強い。

ま、いい思い出だけど♪



そんなことを考えながら部屋に戻ると、



「あ、やっと戻ってきた」



竜也がくつろいでいた。



『温泉、満喫してきた♪』

「そう」



竜也は部屋についている小さな縁側みたいなとこに出て、シートの上に寝ころんでいた。



「女将さんが用意してくれた。夜桜と星空を見るのにって」



あたしもそこに行った。



月の光に照らされた桜が、星空の下でなんとも幻想的に揺らめいている。



『わぁ…綺麗……』



あたしは竜也の隣に腰をおろすと、夜空を仰いだ。



「膝借りるな」

『へ?…あ』



竜也があたしの膝に頭をおいた。


おっと!?これは世間一般に言う“膝枕”では!?



『ちょ、竜也…』

「今日は疲れたのー」



あぁ、うん。それは認める。竜也頑張ったよ。



「……姫香…いい匂いする」

『え?匂い?』



嗅いでみるが、わからない。



「なんか落ち着く…」

『そぉ?』



そう言うと、竜也は目を閉じた。



こいつ寝る気か!?


目を閉じた竜也は、超可愛い。

まつ毛が長く、頬に影を落としていた。



「何」

『え!?いや…』



相当見つめていたらしく、竜也が目を開けた。



ぐいっ


『いでっ』



ちゅ。



髪の毛を引っ張られ、バランスを崩したあたしと竜也の唇が触れた。



『なっ…』

「これ周りから見たら、俺が襲われてるよな」



にこーっと笑ってる竜也。



『なっ…なっ…周りって何さ?』



とりあえずパニクりまくったあたしは、一番どうでもいいことを聞いてしまった。



「例えば、だから」



……竜也の例えは正しかった。

2人のキス現場を目撃していたのは、夜空と桜だけではなかった。




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