お助け部ッ☆



「なんで俺とお前で買い出しなんだ…」




コンビニ袋を片手に夜道を歩く翼はうなだれた。




「翼が翔平のティラミスアイス食っちまうからだろっ!付き合わされた俺の身にもなれっつの」




同じくコンビニ袋を片手にさげた仁が、翼の頭を小突いた。




「いたっ………よし、木登りだっ!」

「……は?」

「あの桜の木に登るんだよ!!」




翼は、100メートルほど先にある大きな桜の木を指差した。




「果てしなく意味がわからないんですけど」

「意味?特にねぇよっ!!」

「あ!ちょっと!?」




木に一直線で走っていく翼。


マジわけわかんねぇ。

もうずいぶん長い付き合いだけど本当………わけわかんねぇ。



しぶしぶ仁もついていった。



木のふもとに行くと、ヤツはすでにてっぺん近くの太い枝に立っていた。



…前世は猿だな。そして来世も猿だな。いっそ現世も猿だったらよかったのに。




「……仁…やばい!」

「何?」

「早く!!」




よくわかんねぇけど…翼の横顔が楽しそうだった。

アイツがあの顔……
絶対おもしろいことだ♪




木の幹に手をかけると、するする登り、翼の横へ。




「早ッ!!」

「早くっつったのお前だろ」

「前世は猿だな。そして来世も猿だな。いっそ現世も猿だったらよかったのに」




俺が思ってたことまんま言われた!!

なんだこの敗北感!!




「で、何?」




敗北感から、あえてのスルーを選んだ俺。




「あっこ見てみ」




翼が指差したのは、旅館。

桜の木から旅館まで約50メートル。

その旅館の中でも、一番手前の部屋の縁側的なとこ。




「……竜と…姫?」




よく見えないが、間違いなくあの2人である。




「「…膝枕してるな」」




思わず翼とハモった。





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