お助け部ッ☆
「迷子の迷子の子猫ちゃん〜あなたのおうちはどこですかー♪」
和室のちゃぶ台の上にある、場違いなキーボード。
それを弾きながら【犬のおまわりさん】を熱唱する翼先輩。しかも、無駄にうまいんですけど。
「犬のぉ〜おまわりさんっ♪困ってしまってわんわんわわ〜ん♪わんわんわわ〜ん♪」
…どっからツッコんだらいいのかな。
…もういいや、めんどくさい。
『わぁー。お上手ですねー』
「だろっ?」
嫌味を込めて言ったのに、なぜか威張る翼先輩。
「ちょ、翼さん!勝手に俺の部屋からキーボード持ってくのやめてくれって、いつも言ってるだろ!!」
学ランを着た同い年ぐらいの男の子が、翼先輩に詰め寄った。
「まーまー。恭(キョウ)ちゃん落ち着いて。ほら、一緒に歌お♪」
「ちょっとは遠慮ってもんを………ん?あんた誰?」
いきなり話を振られて焦ったけれど、ここでしっかり答えとかなきゃこの組の人たち聞く耳持たないってことはもう知ってるんだから。
『あたしは「姫ー!!」
…でた。かぶせの国の王子様、仁。ついにドンが出てきたよ。
「ごま塩のゴマと塩の割合はやっぱ2:3だよな!?」
どんな質問だよ!!
『別に適当でいいんじゃない?』
「や、2:3じゃなきゃダメ!!」
『じゃ聞くなや』
セリフかぶせてまで言うほどのもんじゃないし…
「あんた姫なの?」
男の子は目をぱちくりさせてあたしを見てる。
『恭くん…だっけ?』
「あ、はい。そうです」
何故いきなり敬語?
『あたし、綾瀬姫香。姫ってのはあの人たちが勝手につけたあだ名みたいなもんだよ』
「なんだ、敬語使って損した」
ボソリと呟く恭くん。
あれ、何?この変貌ぶり。
恭くんって誰かさんに雰囲気似てるよなー…
「姫」
その誰かさんに声をかけられ、思わずビクついた。