お助け部ッ☆
さっきまであたしのすぐ横に、大和先輩が翼先輩の手首を掴んで連行するように立ってたのに。
「やだっ!痛いから!!」
奥から翼先輩の駄々をこねる子供のような声と、
「じゃあ一枚でいいから。せっかく山口組の皆さんが協力してくれてるんだ。その親切心をりよ…ありがたく受けとれ」
それを諭すような大和先輩の声。
…今明らか【親切心を利用】って言いかけたよな?
やっぱ腹黒!!あの人には十分注意しなきゃ。
「じゃあ…一枚だけな?」
渋々承諾したらしい翼先輩。
あたしは様子を見るために奥に進んだ。
「あぁ。ま、出来たら半分は手伝ってほしかったんだけどな」
「俺は今不調なんだよー」
奥をのぞいてみると……
あら大変。
翼先輩と大和先輩を中心に組員さんが…ざっと20人ほど囲むようにして立っている。
みんな手にはベニヤ板を持っていた。
「10秒な」
「おうっ」
「よーい…」
2人は身構えた。
同時に組員さん達もベニヤ板を前に出す。
「始め!」
……アイツら…人間か?
早すぎて見えなかったぞ??
気がつくとそこには真っ二つに蹴破られたベニヤ板が散らばっていて…
は!?蹴破ったの!?
…もちろん10秒も経ってないだろう。
「足痛い〜」
「お前は大したことないだろう」
「痛いの!俺今親切に5枚やってやったのに!!」
「5枚なんて言わずに半分頑張れよ」
「やだ!足痛い!!」
「お前そればっか…」
「だってマジだし。だから莉央ん家来たくなかったんだよ。絶対これやるから」
あ、ヤバイ。なんかまたあたし取り残されてる感じ?
『えーと…』
どうしようかな、と考えてると急に後ろから殺気が。
あたしは振り向くわけでもなく、逃げるでもなく。何故か反射的にその場にしゃがんだ。
何かが頭上をすごい勢いで通過したあと、あたしの横に着地した。