お助け部ッ☆
「あそこのお嬢ちゃん、傷つけられたくなかったらおとなしくしてな」
姫香を指差し、一人の組員が不気味に笑った。
「あそこのおジィさん、ご臨終させたくなかったら彼女解放したほうがいいですよ」
「「大和!!」」
いつの間に来ていたのか、大和が佐野を指差し、言った。
その言葉に、組員が佐野の無事を確かめるため、背を向けた。
「とぅッ!!」
「ぐをォォ!?」
途端に、翼の飛び蹴りが決まった。
「敵に背中向けちゃダメダメぇ♪高校生ナメんなよっ!」
「「翼!!」」
これまたいつからいたのか、翼が組員の頭元にしゃがんで言った。
「クソガキがァァァ!!!!」
翼の飛び蹴りを引き金に、組員達が一斉に襲いかかってきた。
「翼っち、トランプ」
「らじゃっ!!……ってなんで俺がトランプ持ってるって知って──…あ。」
喋ってる途中に、莉央にトランプを奪われた翼。
あ、ヤベェ。目がマジだよ。
莉央の横顔を見た翼は、心の中で思った。
一瞬だった。
さっきまで襲いかかってきていた組員達が、今はもう全員くたばっている。
…と言うより、至るところに刃物で切られたような切り傷をつけられ、腰が抜けた、といった感じだ。
「このトランプ、新品みたいだし?よく切れたねぇ」
最後の一枚──…
ジョーカーのカードを指先で弄びながら、莉央は佐野に向かって意味深な笑みを浮かべた。
まるで手裏剣のように。
莉央の手から放たれたトランプは、とてつもない速さで飛び、組員達の皮膚を切り裂いた。
「莉央ォォ!!キャラ変わっちゃってるってェェェ!!プリティーカムバァァァック!!」
仁の叫びにも動じない。
「売られた喧嘩は買うよ?俺の仲間、傷つけた代償はデカイから」
そう言って、佐野にジョーカーのカードを突きつけた。